偏光

筑波大学生物資源学類 奈佐原顕郎

偏光は電磁波の振動パターン(伝播形態)を表す一つの観点である。

電磁波は電場と磁場の両方が空間を変動しながら伝わる波である。電磁気学の基本原理から, 電場の振動方向と磁場の振動方向は, ともに, 電磁波の伝播方向に対して直角でなければならない。また, 電場の振動パターンと磁場の振動パターンの間には密接な関係があるので、電磁波の振動パターンを表現するには, 電場か磁場のどちらかを考えれば十分である(もう片方は必然的に定まる)。

そこで, 特に電場の振動パターンに着目しよう。最も単純な振動パターンは, ある特定の方向に電場が正弦的に振動するというものである。このような電磁波を直線偏光と言う。

ところが, 電磁波は線型な物理現象であり(そのことは電磁気学の基本法則から導かれる), 重ね合わせの原理が成り立つ。すなわち, 複数の直線偏光の重ね合わせも, 電磁波として成り立つのである。

ここでは2つの直線偏光の重ね合わせによって表現されるような電磁波:

Ex=Ex0 sin (kz-ωt)
Ey=Ey0 sin (kz-ωt+δ)
Ez=0
をアニメーションで説明する。この電磁波はz軸の正の方向に伝播する, いわゆる「平面波」である。kは波数, ωは角速度である。δはy方向の電場とx方向の電場の位相差である。以下, z軸上の各点における電場を矢印で表すが, 電場はz軸に垂直な面内で一様である。



直線偏光 (Ey0=0): x方向だけに電場が振動する。



直線偏光 (Ex0=0): y方向だけに電場が振動する。


直線偏光 (Ex0=Ey0, δ=0): x方向とy方向の振動が重なり合って, x軸とy軸の中間の方向に振動する。


直線偏光 (Ex0=Ey0, δ=π): x方向とy方向の振動が重なり合うのだが, タイミング(位相)が互いに逆なので, x軸とy軸の中間でしかも上の場合とは違う方向に振動する。



円偏光 (Ex0=Ey0, δ=π/2): x方向の振動とy方向の振動が, 互いに1/4回転だけずれたタイミング(位相)で重なり合って, 円(螺旋)状の振動(というか回転)をする。


円偏光 (Ex0=Ey0, δ=-π/2): 上の逆回転の場合。